※この記事は、新規事業の事業コンセプトづくりのフレームワークのステップ2の補足説明です。また、フレームワークの全体像については、先にフレームワークをご参照ください。
新規事業の事業コンセプトを考えるフェーズで、顧客の困りごと、ニーズを考える作業について書きました。顧客企業のニーズを考えるという言葉の意味は、その企業で働いている人のニーズを考えるということです。また、顧客企業だけでなくエンドユーザーのニーズも想定することが大事です。つまりニーズや困りごとを人を切り口として考えるということです。以下少し説明します。
顧客企業のニーズとはあくまでそこで働く人間のニーズです。例えば、貴社の製品を買ってくれる購買部門の担当者、その人の上司の購買決定権者の困りごとやニーズです。貴社の製品が部品であるならば、その部品を使ってくれる製造部門の人のニーズです。また、生産管理部門の人、営業部門の人などのニーズです。中小製造業の顧客は企業であることが多いですが、具体的な立場を持った人を明確に想定して、困りごとやニーズを考えます。
例えば、納期短縮という一つのニーズでも色々考えられますよね。営業担当者は納期が遅いと受注できないのかもしれません。だから、購買担当者は早く調達するように責められ、納期確認の手間増加で困っている。生産管理は入荷が遅れると計画を組みなおす手間が発生。製造は入荷が遅いと設備や作業が止まり、逆に入荷時期が集中すると残業が発生する。色々な人の困りごとやニーズを多面的に理解すれば、単に納期を2週間から1週間に短縮というだけではない提供価値を考えることができるかもしれません。
また、顧客企業だけでなくエンドユーザーのニーズを想定することも大事です。商流の中で直接販売先であるお客さんの困りごとやニーズ、顧客提供価値は一番大切です。それに加えて、エンドユーザーの困りごとやニーズも同時に想定してください。
例えばあなたの会社が業務用の厨房機器のステンレス筐体を作っている会社だとします。直接の顧客は厨房機器メーカーであり、その設計担当者は、清掃しやすい構造にしたいというニーズを持っていたとします。しかし、厨房機器を使う飲食店の人たち(エンドユーザー)のニーズは、清掃しやすい機械ではなく、アルバイトでも衛生レベルを維持したいというニーズで、その背景に飲食店の人手不足があったりします。つまり、経験が少ない人が清掃しても綺麗に短時間で清掃できるようにという想いを持っていたとします。すると単に清掃しやすくするために、溶接ビードを滑らかにするとかではなく、素人でも簡単に清掃できるような構造にフォーカスするほうがより喜ばれます。直接の顧客企業だけを見ていると「図面通りに作る会社」になりますが、その先の顧客、エンドユーザーまで理解すると、なぜその要求があるのかが分かります。ニーズの背景を知ることができれば、さらに喜んでもらうことができます。

