※このページは、新規事業の事業コンセプトづくりのフレームワークのステップ2に関する補足説明です。フレームワークについては、先にフレームワークをご参照ください。
ステップ2は、新規事業の事業コンセプト案を沢山考えるステップでした。新たな分野のお客さんに、自社が既存事業で培った強みから逆算し、どんな価値提供ができるのか、その顧客のどんなニーズを満たし、困りごとを解消するのかを以下の5ステップで考えました。
(1)想定業界のリストアップ
(2)製品のイメージを絞る
(3)ルートの中でお客さんを想定する
(4)困りごとやニーズ、顧客提供価値の想定
(5)事業コンセプト案を書いてみる
このページは、「(3)ルートの中でお客さんを想定する」の補足です。主に下請けとして仕事をしてきた企業さんの場合は、自社が製造している製品がエンドユーザーまで流れていく商流と、その中で自社がどの位置を占めるのかについて少し意識が弱い会社があるように思います。
新規事業を考えるにあたっては、エンドユーザーにつながるルート全体を想定することが大切です。なぜならば、
①お客さんの困りごとやニーズを考えるためには、自社の顧客が誰なのか(=流通ルートの中でどの位置のプレイヤーなのか)を明確にしないと考えることができないから。
②競合他社はどんな会社なのかを考えるためにも、流通ルートの中でどの位置のプレイヤーが競合となるのかを明確にしないと考えることができないから。
③商流の中で自社がどんな役割を求められるのかを考えるためにも重要だから。
①と②は自明なので、③について少し説明します。特に自社製品を製造販売した経験のない企業様が、いきなり自社製の製品を作るという場合には、これまでとは全く違った知識、ノウハウ、体制が必要ですが、あまり考えられていないことがあるように思うのです。
例えば、家電向け樹脂部品を製造しているプラスティック射出成型の企業さんが介護・福祉分野に参入する場合、想定ルートを以下のように想定したとします。
・当社 → 介護機器メーカー → 介護施設 → 利用者
当社の製品は、車椅子や歩行器の樹脂カバー、手すりの樹脂部品などを供給するケースです。この場合、当社が製品を販売する顧客は介護機器メーカーです。当社は介護機器メーカーから図面を受けて製造するので、新しい金型の製作、品質管理や納期管理などで家電とは異なる点はあるかもしれませんが、劇的なオペレーションの変化はないかもしれません。なお、競合は他の樹脂成形メーカーということになります。
一方で、想定ルートを以下のように想定したとします。
・当社 → 介護施設 → 利用者
当社の製品は、車椅子用の小物収納具、ベッド周辺の整理用品、転倒防止補助具
などを販売するケースです。この場合当社が製品を販売する顧客は介護施設であり、製品は自社製品です。製品企画から製品設計、試作~安全性検証、販売、アフターサービスまで既存事業より大きく広がります。競合は樹脂成形メーカーではなく介護用品メーカーになるかもしれません。ペイン・ゲインを考える場合にも、介護施設で働く人や利用者の困りごとやニーズを考えていくことになります。つまり、エンドユーザー理解が重要になります。
このように、新規事業を考える際は「その製品が最終ユーザーに届くまでの商流(ルート)」を描くことが重要です。商流を描くことで、
1.顧客企業はどんな企業か
2.自社が担う仕事は何か
3.どのような能力を獲得する必要があるか
4.誰の困りごとやニーズを理解すべきか
5.競合はどんな企業か
が明確になるからです。詳しい検討の前に、「製品が流れていくルート全体」の想定仮説を持つことが必要です。
