強みについて

事業コンセプトの作り方

新規事業の「基本的考え方」の記事の中で、強みとは「現在、お客さんに当社が選ばれている理由」と書きました。このことを図で表現してみます。(下図ご参照)強みは、「自社ができること」と、「顧客が求めること」の交わった部分で、「競合他社ができること」以外の部分となり、以下の表の斜線部分になります。この部分が、「現在、お客様から選ばれている理由」というわけです。

既存事業の強みを新規事業に活かせるように深く考え整理する」で強みを抽出する方法を記しました。これらの方法を使って、自社は何故顧客に選ばれているのかを考えていけば、斜線部分に位置づけられる強みが必ず見つけられるでしょうか? 自社だけの持つオンリーワン技術などがあれば別ですが、通常は斜線部分にぴったりあてはまる強みが見つかることは多くはありません。

でも、「自社ができること」と「顧客が求めること」と「競合他社ができること」の交わっている部分にはいくつも項目が上がると思います。それら一つ一つを組み合わせていくと自社が選ばれている理由が見えてきます。つまり、強みというのは、「自社ができること」、「顧客が求めること」、「競合他社ができること」の交わっている部分に位置づけられる貴社の特徴の合わせ技です。

例を挙げます。例えば、ある企業が「高性能の生産設備」を持っているとします。それはオリジナル設備ではなく一般的な設備だったとします。しかし他社はその設備を医療用機器の部品を製造する分野で使っているが、当社は「長年の実績と信頼を勝ち得ている工作機械のある分野」で使っており、工作機械の業界でその設備を持つ中小企業は少ない。大企業なら工作機械の分野で同じ設備を使っているところもあるが、大企業は大ロットの生産でその設備を使っているが、当社は中小企業としての「柔軟で小回りの利く対応力」を活かし、大企業では対応が難しい多品種小ロット生産にその設備を使っている。

以上の場合、「高性能の生産設備」、「工作機械の1分野での長年の実績と信頼」、「柔軟で小回りの利く対応力」という3つの特徴の合わせ技で、斜線部分に該当できるわけです。つまりこの3つの合わせ技が、現在顧客企業から選ばれている理由=強みになります。

このように、強み=自社が選ばれている理由を考えるには、「自社ができること」と「顧客が求めること」に位置づけられる貴社の特徴を沢山リストアップして、なぜ当社が選ばれているのかを考えるという作業が必要となります。だから、「既存事業の強みを新規事業に活かせるように深く考え整理する」で述べたような方法で、沢山の強みと思われる特徴を抽出することが大事です。