新規事業の立ち上げ段階は、売上も利益もまだ上がらないので、新規事業担当者は社内で批判を受けるということがよくあります。既存事業を担当している人々にとってみれば、自分たちが稼いだ利益を食いつぶして遊んでいると見えるのだと思います。でも、それはやむをえないことです。
例えば、年商30億円の中小企業があるとします。1か月の売上は平均すると、2.5億円/月です。仮に1カ月25日稼働とすると、平均すると1,000万円/日です。この企業が、平穏無事にこのパフォーマンスを継続できているとすると、それは既存のルーティンのオペレーションを、各部署の人々が毎日毎日着実に繰り返しているからです。
企業は、「既存のルーティンオペレーションを効率的に着実に行うための組織」と言えます。一方、試行錯誤をしながら、うまくいくかどうかわからない新規事業を立ち上げるということは効率性を阻害します。つまり企業にとってやってはいけないことをしているわけですから、批判されるのは当然です。
新規事業を進めるための組織を考えるにあたっては、「企業は既存事業を行う組織。日々のオペレーションを改善するぐらいまでは業務に織り込まれているが、新しいことを行うようには設計されていない」という認識が出発点です。