生産機械の進歩により、熟練者のスキルに依存していた技術を機械が代替していきます。ロボット技術、IoT、ビッグデータ解析、生成AIの進化が速く、今まで以上に加速することは必至です。短納期対応力、加工精度などに限らず、あらゆるQCD特性が設備性能に依存する割合が増加していきます。
職人の技術が機械に代替されていくということは、その機械に投資することができる資金力のある中小製造業であることが重要です。電子デバイス製造業、食料品製造業、化学工業、プラスティック製品製造業、金属加工のうちプレスや標準品加工などは特にそうではないでしょうか。人の感性が要求される工芸品的な製品は別として、ほぼすべての製造業はそうなっていくと思います。
そのような中で、比較的小規模な中小製造業はどうすればいいでしょう。重視すべき「強み」は何でしょう。今までにも何度も言われていることですが、機械に代替されにくい「非定型工程」に特化することしかないと思います。例えば、
- 顧客企業の設計段階に踏み込んだ提案力(顧客企業の設計思想を理解したうえで、生産現場や材料特性などを踏まえた高度な提案ができるパートナー力)
- 試作や多品種小ロットへの対応力と納期力(工法選定・材料知識などの知識力、柔軟な対応やトラブル対応力、設計者とのコミュ力など)
- 顧客からの信頼性確保(トレーサビリティ、高度な知識と良好なコミュニケーション、非定型業務の確実な履行等)
このようなことは以前から言われてきたし、国の政策もそうだし、皆が感じていることだと思います。しかし、特に最近一気に加速するのではという肌感覚が強くなってきた気がします。後継者不在もあり廃業も増える中、再編に巻き込まれていくのか、独自の地歩を確保できるのか、比較的規模の小さな中小製造業にとっては強みを再度考える必要を感じています。
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