中小製造業様の新規事業の支援をしていると、経営者の方は自社の製品の認知度を高めるにはどうしたらいいかを腐心されているようです。自社のサイトのPV(閲覧数)を高める方法、展示会出展の効果的な方法、パブリシティの利用などについて質問されます。想定顧客をどうやって見つけたらいいのか、どうやって繋がればよいかがわからないという悩みはわかります。中小製造業は受注生産企業が多いため、営業が得意ではない会社も多く不安もあるでしょう。しかし、ここで言いたいのは上記のようなことは手段系の話ということです。基本的考え方のところで、
- どんなニーズ、困りごとを持ったお客様に
- そのお客様にとって良いこと、喜ぶことを
- 自社のどんな強みを使って(他社と差別化して)提供するのか
について書きました。何よりも考えるべきことはこの事業コンセプトです。HPやインスタで発信するといっても、誰に発信するのか、何をアピールするのか、そのアピールすることは本当にその顧客の困りごとを解決できるのか、なぜ当社でなければならないのか。それが明確でないと発信手段を先に考えても本末転倒です。
また、事業コンセプトの仮説を考えることは自社の人間しかできません。コンサルタントも考え方の支援はできますが、代わりに考えるわけではないです。一方、HPなどの手段系に関しては、極論すると業者に頼めばやってくれます。手段系に興味があるのはわかりますが、まずは中身をしっかり固めることが大切だと思います。
事業コンセプトを時間をかけてしっかり考える重要性を何度も繰り返すのは、それが成果につながる出発点だからです。どれだけ時間をかけて熱量をもって考えたかが大事です。その事業コンセプトの仮説検証段階に進んでいくと、普通は順調にはいきません。もし深く考えず思い付きで進めていたとしたら、「うまくいくと思ったけどダメだったな」で終わってしまうんです。しかし、とことん考えたのにうまくいかなかったら何が間違っていたのだろうと考えるはずです。そして、仮説の間違っていた部分を修正してもう一度トライしようとします。それが仮説検証のサイクルを回すということです。そのサイクルを始めて頂くためには、地味で時間のかかる作業ですが、基本的な考え方で述べた事業コンセプトをしっかりと考えることが必要だと思っております。